フィリピンで会社設立するには

Pocket

お疲れ様です!ちくわです!

 

前回の続きで、実際にフィリピンで会社を設立するために必要な手順を説明します。

自分が行った現地法人のケースとなります。

①手続きする機関

手順の説明の前に会社設立の申請を行う機関を説明します。

会社設立はSecurities and Exchange Commission(SEC:証券取引委員会)という機関で行います。

本社はマニラのパサイにあります。日本大使館や貿易センターの近くにあり、マニラ空港からも近いです。

会社設立だけでなく、会社の基本情報シート(General Information Sheet:GIS)や決算書(Financial Statements:FS)の受け取りに会社関連資料の管理もしています。

ちなみにSEC関連のオンラインサービスで会社の定款やGIS等の書類を配達で購入できるサービスやGISやFSの申請を郵便でできるサービスがあります。それらは利用したことがないため、なんとも言えません。

②会社名の予約

フィリピンでは日本のように自由に会社名は決められません。SECのシステムで類似の会社名がないか判定され、似ている名前は弾かれてしまいます。
自分がこの手続をしたときは申請用紙に記入をして、印紙(100ペソ)を購入して1ヶ月間の社名予約を行いました。
(最大3ヶ月できるみたいですが、自分は1ヶ月しかできませんでした。)
ちょうど自分が手続き中に、CRS(Company Registration System:会社登録システム)というシステムが導入されました。
現在はそのシステム上で予約でき、予約代もシステム上で請求されます。
これ以降の手続きの基本的にCRS上で行います。

③定款の作成

SECにて書類一式が500ペソで販売していますが、CRS上で情報入力が完了すると、定款が作成されます。
定款作成の際にいくつか決定し、記入し、CRS上に入力しなくてはなりません。
フィリピンの定款は2種類あり、Articles of Incorporation(定款)とBy Laws(付属定款)から成っております。
定款では、以下のことを記載します。
    1. 社名
    2. 会社所在地
    3. 事業内容
    4. 会社存続期間(最大50年)
    5. 取締役リスト(名前、国籍、住所)
    6. 資本金や1株の価格
    7. 株主リスト(名前、国籍、住所、持株)
    8. 発起人リスト(名前、国籍、住所、持株)
    9. 財務役の指名
    10. 取締役の署名(サイン)
    11. 取締役の情報

2の会社所在地については、所在地変更は難しくないため、仮住所でも特に問題ないと思います。手間が嫌な場合はオフィス等を決定してからのほうが良いです。

3の事業内容は狭い範囲の内容とすると新たな事業を始める際に事業内容を変更することとなるため、広い範囲で定めることをおすすめします。

会社の制限として、取締役、発起人はそれぞれ5名以上、15名未満でなくてはなりません。
取締役は過半数がフィリピン居住者でなくてはなりません。(フィリピン人でなくてもよいらしいです。手続当時はフィリピン人だと思っていました。)
また、財務役、秘書役を任命しなくてはならなく、財務役はフィリピン在住者で、秘書役はフィリピン人でなくてはなりません。
財務役は会社の金銭の管理をし、その出入りについての記録を帳簿等で保管する責任を有する役職です。
秘書役は取締役会や株主総会の議事録の作成、株主名簿の保管、会社の社印の保管、捺印、その他会社の書類について署名を行う役職と成っています。署名の頻度が代表取締役に匹敵するくらいあります。

6の資本金に関しては、授権資本金(Authorized Capital)、引受資本金(Subscribed Capital/ Outstanding Capital)、払込資本金(Paid-up Capital)という3種類の資本について区別する必要があります。

授権資本とは、会社の株主が引き受けて支払われるべき最大の金額として定められた金額を指します。

引受資本とは、授権資本のうち、株主が引き受けた部分を指します。

払込資本とは、株主により実際に払い込まれた資本の額をいいます。

詳しく説明すると、授権資本は会社が株式を発行して株主から払込を受けることのできる資本の額の最大限をいい、引受資本は株主が既に引き受けた株式について全額の払込を行った場合の資本額を指すといえます。

また、日本の株式会社とは異なり、フィリピンの株式会社の株式引受人は引き受けた株式の全額を払い込む必要はなく、引受契約において残額の支払時期が定められているか、払込時期が定められていない場合には取締役会が要求したときに払い込むこととされていれば、最低その4分の1を支払えばよいこととされており、実際に払い込まれている資本の額が払込資本となります。

この定款作成でもそうですが、フィリピンはサイン社会であるため、契約等の書類に署名は書かせません。
しかも、原紙(オリジナル)でないと受け付けない場合が多いので、取締役はすぐに会える人を選定することをおすすめします。

付属定款では以下のことを記載します。

  1. 取締役会に関する事項
  2. 株主総会に関する事項
  3. 株主総会の定足数に関する事項
  4. 株主の議決権の代理行使に関する事項
  5. 取締役、役員及び従業員に関する事項
  6. 取締役の選任に関する事項
  7. 取締役以外の役員の選任に関する事項
  8. 付属定款の違反の場合の罰則に関する事項
  9. 株券発行の方法に関する事項
  10. その他事業遂行のために必要と思われる事項

特に年次の株主総会開催日や会計年度を決めなくてはなりません。
この株主総会開催日はGIS提出時期に関わってきます。この日から30日以内にGISを提出しなくてはなりません。
また、会計年度はデフォルトで1月(12月締め)となっていますが、海外本社と合わせる形で変更はできます。

 

④その他資料作成

定款以外の必要な資料もCRS上で作成されます。

以下のものがあります。
・財務役宣誓書
・SEC F100フォーム(外資の現地法人用書類)
以前は銀行で法人口座を開設して、預金証明書や送金証明書も提出しなくてはならなかったそうですが、自分は一切無しで申請できました。

将来経済区(PEZA等)に入る予定があっても、加盟前にCRS上でそれを選択すると、SEC側の確認時に面倒なこととなるので、FIA(Foreign Investment Act:外資法人)を選択しましょう。(実体験)

書類に署名が入った後はNotary Public(ノータリーパブリック)にてNotarize(ノータライズ)をする必要があります。
Notary Publicとは公証人の意味で、Notarizeするとは書類を公式文書にする手続きのことを言います。
Notary Publicの欄がある書類はNotarizeしないと正式な文書として認められません。
Notary Publicに関しては、今後詳細を説明します。

⑤CRS上に書類をアップロード

作成した書類はPDF化してCRS上にアップロードします。
アップロードするとSEC側が書類の審査を行います。
フィリピンであるため、レスポンスに時間がかかります。
OKだとCRS上で請求書が送られ、その金額のとおりに10日以内に支払わなくてはなりません。
LANDBANKというフィリピンの銀行のサービスか現金で直接SECに支払う必要があります。
その際の領収書はCRSに支払いの証拠としてアップロードすると次の段階に進みます。
その後も領収書は必要であるので、絶対に紛失しないようにしましょう。
フィリピンでは領収書もオリジナルを求められることがあるので、事業を行う際は管理を徹底すべきです。

⑥書類一式提出

作成したオリジナルの書類1セットとコピー3セットをReceiving(受取)と呼ばれる部署に提出します。
その際に領収書のコピーも添付します。
SEC側が受取時に証明書受取日を教えてくれるので、それ以降に会社設立証明が受け取れます。

⑦その後行うこと

会社設立後に行うことは、株主台帳を購入してSECにそれを登録することです。
会社設立後30日以内に支払わなくてはなりません。
購入後に申請用紙を記入して、会社設立証明を受け取った部署で手続きできます。
株主台帳にスタンプが押され、このスタンプのコピーも今後必要となります。

 

以上となります。

自分が実際に手続きした際の流れを記載しています。

参考となれば幸いです!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。